8.うさぎ



「ラウ」

「……」

「ラウ」

「……」

「なー、ラウってば」

「……うるさい」

「うるさいってさぁ、俺の話聞いてる? さっきっからかなり色々話した気がするんだけど」

「聞いている」

「うっそマジ?」

「当然だろう」

「へー、何か感激」

「右から左だがな」

「……へー、何かがっかり」

「今さら何を云う」

「ま、確かに今さらだけど? お前の性格なんかわかってるつもりだったけどさ」

「……?」

「なんかな、俺ばっか嬉しいみたいでさ」

「事実、喜んでいるのはお前だけだろう?」

「…………あーはいはい、そうですね」

「何をふて腐れている」

「どうせね、俺だけが久し振りの逢瀬に幸せ感じちゃってますよ。嬉しいですよ、そりゃあね」

「……ムウ」

「だって何ヶ月ぶりだと思ってんだよ」

「……」

「俺が、お前に会えなくて死にそうになってたりする姿なんか想像もつかないだろ、お前」

「……」

「冗談抜きでさ」

「……」

「……」

「……」

「……」

「…………知っているか、ムウ?」

「ん?」

「うさぎは寂しいと死んでしまうらしいぞ」

「え」

「どうかしたか?」

「まさかそれって、お前……」

「私がなんだ?」

「俺と会えないと、寂しくて死んじゃう?」

「――さぁな」

「え?」

「ならば、どうして今私は生きているんだろうな?」

「……え、ちょ、ちょっと待てよ。それって――」



そんな彼の慌てる様子に、クルーゼは笑う。

フラガの好きな笑みを浮かべて。




   人が違う……(汗) なんつーか、また『やおい』な話を……。
    本読んでるラウさんを後ろからムウさんが抱きしめてたりするかもしれない。