50.日常



かの人ようにあれ と云われ続けた日々
もういらない と冷たい目を向けられた日々
ひとり 凍えた夜を見上げた日々
誰よりも強くあれ と命令に従う日々
やつらを殺せ と命令を下した日々

どれも確かにそこにあった日常で
どれも絶対ではなく どれも嘘ではない日常で

ただそこにあったと それだけのものであるのに


闇の中 戻ることもできずに漂っていたあのとき
どこからか差し込む光を見つけた瞬間から


私は日常に かつてとは全く違う色を見た




    無常なる日常