31.去年 しばらく前まで、私たちは何も知らなかった。 さして知らぬ相手、されど誰よりも近い相手、それだけの存在であったというのに。 私だけが知る真実を、決して誰にも悟らせぬまま、目的のための最高の手段を常に選びとり。 殺し殺され、憎み憎まれ、ただそれを繰り返していくだけのもの。 私たちは、そうやってあるものだと思っていた。 ただ、忌むべき事実と、偽りに彩られた過去のみが両者の間に介在していて。 そうであるものだと、知っていた。 信じる以前に、それしかないものだと、わかっていた。 けれど、今は――。 1年くらい前の彼らはこんな感じかなぁ、なんて |