17.もういない?



ふいに目を閉じる。

けれど、何も感じることはなくて。




慣れない、けれど慣れなくてはいけないコクピットの中。

常とは異なる操作でありながらも、自在に操り、戦っていた。

――否。

自在に操れなければ戦えない。勝つことなどできない。

自らの能力の限界を超えて。限界など、とうにどこかわからなくなるほどに。

身体の悲鳴など聞き飽いた。

死さえ願ってしまうほどの痛みに比べれば、これくらいどうというものでもない。

焼ききれそうな神経をさらに研ぎ澄まさせ、見えぬものまで見る。

痛みなど感じはしない。

恐れるものは何一つとしてない。



だからこそここにいるのだと。

だからこそここにいられるのだと。



知っている。

――知っていた、のに。



ぶつりと途切れた感覚。

騒がしいノイズがひとつ消え去った瞬間。

襲うものは失望、溢れるものは嘲笑。

お前もか、と。

呟く声など届きはしない。

それを聴くものなどいはしない。

ここにひとり。

ただひとり。

何かを望み、何もかもを望まずに。




ふいに目を閉じる。

ほんの一瞬。

けれど、やけに長い、確かに過ぎゆく時間。



お前もか、と。

自身にさえ聞こえぬ言葉。

聴くものなどもういない。



疑問などない。偶然など信じない。

そうやってやってくる、全ては必然なのだから。




お前も、か。




届けたい声などない。

届かぬ声などもういらない。




ゆっくりと目を開く。

そうして見据える。




滅びゆく世界の果てを。




    甘いんじゃないのか百題…?(汗)
    なぜか本編設定で。
    久々にこんなんですみませ…。