15.雑踏



波。

人波。

人の行き交う場所。





(どこへ行くの)

(どうして行くの)

(どこまで行くの)





いつだってどこでだって、人はせわしなく賑やかにそこにいて。

いつも同じように見えるのに、それはいつも全く違うもの。

その中に身を置くと、そこに自分がいないような感覚に陥る。





ざわり

ざわり





頭の奥に響く音。

止められない、終わることのない、人の生きる音。

いつでもいつまでも、鎮まることのない波を描いて。





(ああもし)

(ここでこのまま)

(消えてしまうことができたなら)




人の営みの中。

感じる違和感を否定できるわけがない。

何も知らないまま、溶けてしまえばよかったのに。





(それでも)

(いつか と)

(願うのはなぜ)




誰でもない自分。

誰かになりえない自分。

それでも、求めたいものがあるのなら。





(どこにいるの)





何を手にしようとも。

何を失おうとも。

それでも、望むものがあるのなら。





(ここにいるよ)

















「悪い、待たせたっ」


出会うたび、

顔を見るたび、

安堵と失望を感じるのはなぜだろう。





考える気もなかった。

人の行く末、

人の生きる意味、

そこに存在し消えていく、数々の命の成れの果て。





(それでも)

(今はまだ)

(そうして微笑んでいられるのなら)





「――さ、行こうぜ」








手を取ろう。

銃の代わりに。



今は、まだ。





    わけわからん話。
    意味を求めないでください。
    感じあう二人を書きたかったはずなのだが。
    いつの間にこんなことに…?(汗)