1.始まり



例えばそれは平和な中立国のコロニーで、



「――隣、いいか?」
「……」



変わらないはずの日常の中で、



「キラ、教授が呼んでる!」
「またぁ?」
「ほら、早くしないとどやされるぞ?」
「しょうがないなぁ……」

「こんにちは、アスラン」
「お久し振りです。あの、これを……」
「まぁ、ありがとうございます」



後戻りのきかぬ戦渦の真っ只中で、



「ほう、エンデュミオンの鷹か」
「――こいつっ!」

「アス、ラン?」
「っ、……キラ……!」



ほんの偶然に起こりうることであって。



「だが、まだなにか……これはっ!?」
「私がお前を感じるように、お前も私を感じるのか」



運命は嘲笑う。



「不幸な宿縁だな、ムウ・ラ・フラガ」



現実を。
真実を。