どうしようもなく好きだから。 奪われるくらいなら、いっそこの手で壊してしまえ。 驚いたように見開かれる目。 信じられないと、全身で叫んでいて。 ――ごめん、君を傷つけたいわけじゃないんだ。 どうしたって抑えきれない感情をもてあまして。 見下ろした君は、いつもと変わらないのに。 包み込んでくれるあたたかな手を、振り払ったのは自分。 優しい君、最低な僕。 君を傷つけたりはしない。 君を泣かせたりはしない。 ――そんな風になる前に、僕は君を壊すから。 大丈夫だよ。安心して。 君がどんな僕をも愛してくれたように。 どんなになっても、僕は君を愛しているから。 流れる雫は溶け合って。 地の底深くに降りそそぐ。 君の頬はあたたかく。 僕の指は冷たいまま。 ――この涙は、誰のもの? |