どうして、どうして僕たちは。 人が死ぬ。 目の前で死んでいく。 知らない人、言葉を交わしたことのある人、大切な人。 誰にでも平等に死が訪れるというのなら、天命ではない死の場合、その順番は一体誰が決めているのだろうか。 守るべき人を、守りたい人を、守るために守りたいから戦っていただけなのに。 誰かを殺すために、その命をその未来を奪うために戦っていたわけではないのに。 機械越しの無感覚な衝撃。 一人、また一人と立ち塞がる者の命を見境なく奪っていく自分を、怪物だ悪魔だと口汚く罵る人間はここにはいない。 戦争だから。 みんな仲間だから。 ――だから殺すんだ。 僕のために。 みんなのために。 世界のために。 未来のために。 だから、殺さなければ。 世界を破滅に導く存在を、見逃しておくわけにはいかないから。 大切な人たちを殺したから。そうなるように仕向けたから。 だから殺すんだ、あの人を。 ……そう、あなただけは。 あなただけは、殺さなければならない。 僕の手で。 |