うるさいほどに鳴り響く警報アラーム。

どうにか体勢を建て直そうと必死に叫ぶクルーたちの声を聞きながら、

アデスは不思議と冷静な自分がいるのに気付いた。

悲観ではなく、予感でもなく、わかる。


――この船は、もうだめだ。


これまで、どれ程の時間をこの船と共に過ごしただろう。

軍に志願した理由、

艦長の任についたときのこと、

クルーゼ隊がこの鑑に乗った日、

数々の戦を勝利していた頃。

そう昔でもない時間が、その記憶が鮮やかに蘇る。



死と隣合わせで、それでも祖国のためにと戦い続けた日々。



窓の外に、この鑑の分空いた穴を抜け、真横を通って行く色鮮やかな船が見えた。

そうして、見覚えのあるいくつかの機体も。


これまで共に戦ってきた二人の少年。

彼らがなぜザフトから離反したのかはわからない。

けれど彼らのことだから、なにかとても大切な決意があるのだろう。


彼らがその真っ直ぐな瞳で何を見ているのか、アデスは知らない。


窓の外には閃光、そして漆黒の宇宙。


その中をつき進んで行く少年たちに、アデスは静かに敬礼を捧げた。




祈りと、わずかな願いをその手に込めて。






    アデス……(泣)
    意味があるんだかないんだかわからないけど。
    書きたかった。
    だから、書いた。