飼い主会議   ※ 『さよなら、大好きな人。』 『君といつまで』 以前の話です。


飼い主の皆さんに質問です。


――最近、お宅の猫はどうですか?

ハボック(以下、ハボ)「猫って、それぞれ飼ってるやつのことっスよね?」
ムウ「だろうな」
ランディ(以下、ラン)「あの、『お宅の』なんて云ったら怒られるような気がするんですけど、オレ……」

ムウ「うちのラウは相変わらず可愛いぞー。最近やっと色々自己主張し始めてな」
ラン「自己主張って、どういうことですか?」
ムウ「ほらあいつ、何されても全然嫌がったりしないだろ。それが最近、やっと嫌なことは嫌って示すようになったんだ。どうやらシャワーは嫌いらしい」
ラン「そうなんですか、よかったですね!」
ハボ「へぇ…… (嫌がられて喜ぶのもどうかと思うけどな…、と思っている)」

ハボ「大佐は……あー、ワガママが輪をかけてひどくなってるような気がしますね」
ラン「え? でもロイさんいい子ですよ?」
ムウ「そんなにワガママなのか? うちにも時々遊びに来てるけど、そんな風には見えないけどな」
ラン「ですよね」
ハボ「はぁ、そうなんスか (猫被ってやがるなあの猫、と思っている)」

ラン「セイランさんも来たときとあんまり変わらないですね」
ムウ「じゃあ、セイランの普段ってどんなんだよ?」
ラン「えっと、エサは気分によって選んでオレのいうことはほとんど聞いてなくてオモチャはすぐにぼろぼろにしちゃうし、あと、ときどきセイランさんのほうから寄ってきても、撫でようとするとすぐ逃げちゃいます」
ムウ「それって充分ワガママじゃないのか……?」
ハボ「……そっスね (ある意味大佐よりワガママだ…、と思っている)」
ラン「そうなんですか? 最初からこうだから、てっきりそういうものだと思っちゃってました」


――それぞれ、猫に出逢ったときの第一印象は?

ムウ「……ここだけの話、実はゴミだと思ってた」
ラン「えっ、そうなんですか!?」
ムウ「んー、ボロボロできったなかったからな、あいつ。あれで動かないままだった
ら、本気で気づかなかったろうなぁ」
ハボ「そんなに汚かったんスか?」
ムウ「ああ。連れ帰って洗ったときのあの白さには流石に驚いたよ」
ラン「真っ白で綺麗ですもんね、ラウさん」

ハボ「……『うわ嫌なもん見ちまった』、かな」
ムウ「少尉も拾ったんだったよな?」
ハボ「ええ。お約束どおり、ダンボールに入れられて道端に捨てられてました」
ラン「それでもハボックさんは拾ってあげたんですよね!」
ハボ「そりゃまあ、あんな目で見られちゃ、拾わずにいられないっつか……」

ラン「それじゃあオレだけなんですね、人から譲られたのって」
ムウ「えっと、学校の先輩からだっけ?」
ラン「そうなんです。いきなり預かってくれって渡されて……びっくりしたけど、セイランさんのことは嫌じゃなかった気がします」
ハボ「相性は悪くなかったんだな」
ラン「だといいんですけど (苦笑)」


――今はどうですか?

ハボ「なんでこんなの拾っちゃったんだろう、かな」
ラン「えっ、本当ですか!?」
ムウ「……ほぉ?」
ハボ「でも……そうだな、拾わなければよかった、とは思わないかもしれない」
ラン「――! (嬉しそう)」
ムウ「ほぉ…… (にやにや)」


――これからの生活に関してなにかございましたらどうぞ。

ムウ「これからねぇ……多分、ラウとは変わらないまんま過ごすんだと思うけどな」
ハボ「そうっスよね、もう飼い主の心配もしなくてすむし」
ラン「え、ラウさんの飼い主、見つかったんですか!? ……あれ、でも見つかったら一緒にいられないよな……あれ? (困惑)」
ムウ「いや見つかったといえば見つかったんだか……なんていうかあれだな、俺が飼ってもいいことにはなったんだ」
ラン「あ、そうなんですか、良かったですね!」
ムウ「ああ。――本当にな」

ハボ「……とりあえずは、まだ飼い主探してます。大佐の飼い主募集中。年齢性別問いません。とにかく欲しい人にあげます (誰にともなく宣伝)」
ラン「ロイさんを、人に譲ってしまうんですか……? (悲しげ)」
ハボ「譲ってしまうもなにも、俺は元々猫を飼う気はなかったからな。すぐに飼い主を見つけるつもりがなかなか見つからなくて、ずるずると一緒に暮らしてたようなもんだし」
ムウ「そっか、それは寂しくなるな……」
ラン「そうですよね……」
ハボ「……アンタら、俺に何させたいんスか」

ラン「これから……」
ハボ「どうした?」
ラン「いえあの、これからって、どうなるかわからないなって思って」
ムウ「そっか、セイランは先輩から預かった猫だったな」
ラン「はい、だからまだ、よくわかりません。先のことですし (あっけらかんと)」
ハボ「そうだそうだ、先のことなんか気にするな (あーこいつ気にしてるな、と思いながら)」
ムウ「そうだぞ、大切なのは今だからな」
ラン「そう…ですよね。はい、頑張ります!」


――どうもありがとうございました!
   これからもどうぞお幸せに!